「ファッション イン ジャパン1945-2020 流行と社会」平日の昼下がりに日時指定で行った。割に混んでいた。思い思いの格好をした10代20代の人が真剣に鑑賞している姿が印象的だった。
時間をかけてじっくり食い入るように観ている人が何人もいて若き日の自分と重なった。
ここに来ている人たちの多くは、「明日着る服」のことを考えずにはいられないのだ、と思えた。沈黙の連帯感らしき感情が湧いた。
もちろん自分勝手な妄想ではあるけれど。長引くコロナ下だからかも知れない。感傷的になっている。
とりわけ70年代、80年代は、自らの服に目覚めた時期と重なるため、一挙にタイムスリップしてしまった。
一枚のドレス、「デイドレス 森英恵 ハナエ・モリ・バンロン・バイ・ヴィヴィド 1969〜70年代」があった。
この展示のワンピースと同時代で、ブランドのシンボル的なモチーフである蝶がデザインされたワンピースを着た母さんが、突然浮かび上がってきた。まだ30代前半でピカピカに若い。
肉厚で、伸縮性と光沢のあるナイロン生地の黒地に白の蝶が一面にあしらわれた、ウエストマークの膝丈シャツワンピースは、とてもエレガントだった。
蝶柄で、ブラック&ホワイト、分厚いナイロン生地の安定感、極めてバランスの良い華やかさ。
今思うと、わたしが理想とするワンピースの原点だったのだ。特別な場だけじゃなく普段着としても気軽に着られる素材、伸縮性、フィット感。なのに決してカジュアルには傾かないシックさと華やかさ。本当に素敵なワンピースだった。
ネット検索し記憶に間違いがないか、確認しようとしたけれど、同じワンピースは出てこなかった。当たり前だけど、インターネット検索にこの世の全ては載っていないのだ。
「ファッション イン ジャパン 1945-2020 —流行と社会」
参考:WWD 94歳を迎えた森英恵「シャネル」のサロンを訪れた初めての東洋人 情熱で突き進んだ人生の知られざる一面