〇1960年代から70代はじめ、クリスマスケーキは食べる遊園地だった

2022年8月31日水曜日

昭和 平成 食べる

 

 不二家レストラン、ショーケース

子供のころクリスマスになると、家にケーキを届けてくれるおじさんがいた。そのため当時、弟とわたしはそのおじさんに会うと、まるで餌と人を結びつけてなつく動物みたいにケーキを思い浮かべた。

1960年代から70年代初頭にかけて、わたしと弟が食べたクリスマスケーキは、

①スポンジ生地。

②白、チョコレート、ピンクのクリーム。

③1段又は2段式。最近はあまり見ないけれど、2段構えのケーキはゴージャスでワクワクした。

③イチゴ、桃のシロップ漬け、固いメレンゲのサンタクロース、プラスチックヒイラギの葉っぱ、真っ赤なドレンチェリー(さくらんぼの砂糖漬け)、黄緑色のアンジェリカ(セリ科の茎の砂糖漬け)、

たぶん、こういう要素で成り立っていた。

クリームとスポンジの土台に、白と赤のサンタ、緑のひいらぎ、トロ〜ンと甘いチェリーや砂糖だらけの黄緑のアンジェリカなどを散りばめた、食べる遊園地だった。

キメの粗い生地のスポンジ、フルーツのシロップ漬け、今どきのふんわりホイップクリームよりもっとコッテリ口の中に残るバタークリームが、口の中で混ざり合って、すごいおいしい!と、毎年感動した。

現在、スーパーやコンビニで売られてる普通のイチゴショートケーキよりはるかに油っぽく、どっしりとケーキは口の中とお腹にまとわりつき、ダイレクトに子供心に響いた。

ケーキのおじさんは母の妹の夫、つまり叔父だ。法律家になる前、若き日のおじさんは製菓メーカーで働いていた。ケーキのように甘く素敵な微笑みのひとだった。

不二家レストラン、イチゴのショートケーキ

このブログを検索

QooQ