# 磯部せんべいと昭和スタイル、マニュアルじゃないおもてなし

2022年5月11日水曜日

昭和 平成

 


磯部せんべいは、群馬県安中市の磯部温泉の鉱泉水、小麦粉、砂糖を使って焼き上げたせんべいだ。

2枚重ねの磯部せんべいの間にクリームを挟んだものがある。かなり軽い食感でクリームの風味が最大限に活かされている。


磯部温泉は、温泉天国の群馬県にあって、割に存在感の薄い温泉地である。群馬県と言えば、草津温泉、伊香保温泉、四方温泉、万座温泉、水上温泉……名湯の宝庫で、わざわざ磯部温泉に行かなくとも、他に行くべき温泉がたくさんある、という声を、聞くことさえある。

義理の両親がかつて安中市に住んでいたので、わたしはコロナ前に、偶然、磯部館という老舗旅館の前を通りかかったことがある。

そこで日帰り入浴1100円という文字が目に入り、夏場だったので首にかけた薄手の広告付きタオル片手に、思いつきで入浴したのだった。

※もっとも、現在は日帰り入浴は中止中である。

地下道を通って温泉に向かうのだけれど、両脇がなまこ壁で、そのひんやりとした感覚と俗世間と切り離されたような細長い空間が、どこへ迷い込んだのだろう?という気さえする。非現実感がある。

肝心かなめの温泉は、2つあった。ひとつは内風呂、もう一つは檜風呂。中でも小さめの檜風呂の方は、木の柵に隔てられたすぐ目の前に碓氷川が流れており、ザーザーという水の流れと外気を直接感じつつ温泉に浸かった。

わたしは一人で30分くらい、川の流れを聞いていた。

磯部館は、ホームページによると江戸時代より旅館業を営む老舗で、実際、中に入ると歴史を重ねた風格が至るところに感じられ、威圧感がない。

マニュアルに染まってない身についた礼儀正しさを、フロントの人から感じられた。その点がわたしを寛がせた。また行きたい。

参考:磯部館

田村製菓









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