〇昭和18年生まれ、広島オンナのパン朝食は、激動の人生を感じる。

2024年1月25日木曜日

昭和 平成 食べる

2022年11月14日初公開

3泊4日の故郷広島での滞在中、食べたもので印象深かったのは朝食だった。と言っても、カフェやホテルの朝食のことではない。

滞在した母さんの妹であるおばさん80歳の家で、毎日食べられているパン朝食だ。叔母だけれど、ワタシが子供のときは未婚だったため、一貫してS子姉ちゃんと呼んでいる。

子供時代、毎朝、いりこだしの味噌汁とご飯の朝食を食べ続け、和朝食というと、味噌汁とご飯が嫌いなわけでもないのに、どうしても日常のイメージを抱いてしまう、パン好きのココロを捉えた、非日常でリアルな朝食である。

まず、右手の小鉢サラダ。細かい部分は覚えていないけれど、キュウリ、キャベツ、玉ねぎ?などの野菜をカットし塩麹と共にジップロックに入れ揉み、冷蔵庫で一晩以上寝かせたものが、このサラダの母体である。

その上に、缶を開けたらそのまま食べられる調理済みの大豆などのビーンズ類、くるみなどのナッツ類をトッピング。

野菜を塩麹でぎゅっと揉み込んであるから、生野菜なら何倍ものボリュームになる。そこにお好みでドレッシングをかける。わたしは、塩麹野菜とナッツ、豆類がそのまま混じりあった食感が好き、そのまま食べた。

次に、トーストの横に見えるのは鶏肉、こちらも、前日、ジップロックに塩麹と鶏肉を漬けこみ冷蔵庫に寝かせたものを、翌朝、小鍋でジップロックごと茹でたもの。イメージとしてはサラダチキンだ。塩麹の旨味と合わさってジューシーである。

季節のフルーツとヨーグルトも重要な一品だ。庭で採れたブルーベリー、リンゴ、トロトロのゼリー状になった熟し柿など。ブルーベリー、熟した柿の甘味、ヨーグルトの酸味が、口の中で広がる感じが最高なのだ。

これら、小鉢サラダ、塩麹チキン、フルーツとヨーグルトに、茹で卵や目玉焼きなどの卵料理、地元パン屋の食パン、寿屋珈琲、昭和22年創業、広島のコーヒー屋、ブラックコーヒーが加わる。

広島北部の町、向原で育ったS子姉ちゃんは、生まれた場所、韓国の春川のことを覚えていない。

かの地を離れ、ひいおじいちゃん、おばさんにとっては、じいちゃんの故郷である向原に戻ってきたのが2歳の頃だったからだ。

かあさんが4人きょうだいの一番上で、次に長男、次女のS子姉ちゃん、末っ子の3女、N子姉ちゃんと続く。

向原に戻ってきたとき7歳だった母さんは、朝食はごはんとみそ汁派だったけれど、次女のS子姉ちゃんは、若い頃から頑固なパン朝食派だった。

ごはんとみそ汁派の夫と結婚した後も、パンの朝食を貫き通した。パンに対する想い、情熱、執着が強い。

どのくらい強いかというと、結婚後は、手作りパンの朝食はもちろんのこと、旅行先の朝食も当然パン食、2019年に一緒に旅した、長野県の小布施という地では、地元のパン屋を探し出し、まとめ買いをして、朝と夜と食べ続けた。

いわゆるスーパーの袋食パンを軽視していて、滞在中に食べたパンも、地元のこだわり食パンだった。

2023年、S子姉ちゃんの家に泊まった際も、お土産のクロワッサン、ショッピングモール併設のパン屋で買ったもの、S子姉ちゃんの娘、Mちゃんによると、ここのモールのパンと地元で有名な○○ベイカリーだけは買ってはいけない、そうで、偶然にもワタシは、買ってはいけない平凡なクロワッサンを選んだ、を刺身と小鉢の夕食と一緒に食べた。



2022年に夫を見送った後も、S姉ちゃんはパンを食べ続ける。パンに非日常を感じるところ、外食のパンとライスのチョイスに、問答無用でパンを選ぶところ、好きになったらとことん執着し、ときに熱狂するところ、こういうS姉ちゃんの側面にワタシは、自分自身を重ねてしまう。

こういう生きている実感が湧くひとが大好きなのだ。



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