まずは、「UNIQLO : C」の公式ページから
クレア・ワイト・ケラー
イギリス生まれのデザイナー、クレア・ワイト・ケラーは、数多くのファッションハウスでキャリアを積み、ロンドンやパリでトップクラスのラグジュアリーブランドのクリエイティブ・ディレクターとして、プレタポルテからオートクチュールコレクションまで幅広く手掛けてきた。2018年にブリティッシュ・ファッション・アワードの「ウィメンズウェア・デザイナー・オブ・ザ・イヤー」を受賞。2019年には『タイム』誌の「世界で最も影響力のある100人」のひとりに選ばれた。
クレア・ワイト・ケラーはイギリスのデザイナー。
イギリス生まれ、イギリス、セントマーチンズのファッション&テキスタイル科を専攻。卒業後、ロイヤル・カレッジ・オブ・アートでニットウェアにに関して学び、修士号を取得。
ロイヤルカレッジの卒業コレクションを機にカルバン クラインにスカウトされ、卒業後、4年間カルバン クラインにて働く。
その後、ラルフ ローレンを経て、2000年からトム フォード率いるグッチに移籍。シニアデザイナーを担当する。
2005年からプリングルのクリエイティブディレクターに就任。2011年、クレア・ワイト・ケラーは、プリングルのポジションを退任し、クロエのクリエイティブディレクターに就任。
2017年、クレア・ワイト・ケラーがクロエのクリエイティブディレクターを退任。同年、ジバンシィの新アーティスティックディレクターに就任。
ジバンシィでは、ウィメンズ・メンズのプレタポルテコレクション及びアクセサリー、 そしてオートクチュールコレクションに至る、 全てのコレクションにおけるクリエイティブの責任者となった。
2018年にはブリティッシュ・ファッション・アワードの「ウィメンズウェア・デザイナー・オブ・ザ・イヤー」を受賞。また、メーガン妃のウエディングドレスを手がけた。
2019年には『タイム』誌の「世界で最も影響力のある100人」のひとりに選ばれた。
2020-21年秋冬コレクションを最後にジバンシィのディレクターを退任。
2023年、ユニクロのウィメンズライン「ユニクロ:シー」にデザイナーとして参加。
そこで、クレア・ワイト・ケラー時代のクロエとジバンシーのコレクションを見てみた。
2012春夏のクロエの初コレクションが好きだった。
クロエ(Chloé) 2012年春夏ウィメンズコレクション - ファッションプレス (fashion-press.net)
クレア・ワイト・ケラーの手がけたクロエの服を着たモデルたちはみんな妖精のようだ。フェミニンというよりガーリー。得意なプリーツ使いにギャザー、柄使いなどのディテールが本当に繊細。女の子の夢に溢れている。
参考までに、評価の高いクロエ時代のコレクション、一部だけど画像のリンクを載せておく。
クロエ(Chloé) 2013年春夏ウィメンズコレクション - ファッションプレス (fashion-press.net)
クロエ(Chloé) 2014年春夏ウィメンズコレクション - ファッションプレス (fashion-press.net)
クロエ(Chloé) 2015年春夏ウィメンズコレクション - ファッションプレス (fashion-press.net)
クロエ(Chloé) 2016年春夏ウィメンズコレクション - ファッションプレス (fashion-press.net)
いっぽう、こちらは、ジバンシー時代のコレクション動画。一部だけどリンクを載せておく。
GIVENCHY | Spring Summer 2019 RTW Show - YouTube
GIVENCHY | Spring Summer 2018 RTW Show - YouTube
GIVENCHY | Fall Winter 2018 RTW Show - YouTube
当たり前だけど、今回のUNIQLO : C と共通点が多くある。際立ったフェミニンさとエレガンスが、ユニクロと組むことでより日常生活に即したスタイルに変換されている。
印象的だったのは、WWDに掲載されていたインタビューだ。
「ユニクロ:シー」クレア・ワイト・ケラーが語ったユニクロとラグジュアリーの違い
一部を抜粋すると、
WWD:ユニクロはテック素材を使った機能性商品が強みだが、その分繊細なデザインが求められるウィメンズウエアに弱いという課題がある。機能性ドリブンというユニクロのブランドイメージには同意するか。
クレア:確かにそうだ。ただ、テクノロジーやイノベーションがあるからこそユニクロの服が大好きだという人もたくさんいる。そこに私が自分の美意識として培ってきたものを持ち込めば、いいものができると思っている。機能性素材を作って、使用することもとても面白い。これまでのブランドではあまりテクニカルな素材を使ってこなかったが、ファッションにおいて機能性と感性という2つを合わせることは非常に興味深いと感じている。
WWD:ユニクロにとっては、今回の取り組みでの最大の学びは何か。
勝田幸宏ファーストリテイリンググループ上席執行役員ユニクロR&D統括責任者(以下、勝田):クレアさんは自身で緻密なリサーチを重ねており、ファッションの知識や引き出しがものすごい。別のデザイナーと比べるわけではないが、こんなに地道にリサーチを続けているのかと非常に驚いた。だからこそ、(取り組み相手のブランドに対し)「あなたたちならこういった感じがいいんじゃないか」とアイデアを出すことができる。彼女はアトリエに、資料として大量の服のアーカイブを持っている。クレアさんにも登壇いただいた9月12日の社内のコンベンションで、柳井(正ファーストリテイリング会長兼社長)が「過去を知り、今を知らないと未来なんて分からない。過去と今が分かっていないとビジネスなんてできない」といった趣旨のことを話していたが、彼女が服のデザインにおいてやっていることはそれとまさに同じ。そういった姿勢を社内の企画チームのメンバーにはぜひ見習ってほしい。服のデザインに限らず何事も、積み重ねられてきたものに足していくという伸展のあり方を学んでほしいし、自分もそうでないといけない。
従来のユニクロの服にはあまり感じられない、レディース特有の繊細さやディテール使いを、今後どのようにユニクロのデザインと融合させるか、という観点でクレア・ワイト・ケラーにたどり着いた、ということのようだ。
コスパ抜群で高品質なユニクロの服だけど、例えばワタシが主に買ってきたものは、メンズのシャツやセーター、レディースにしても、ジーンズとセーターがほとんどで、ワンピースやスカートが欲しいと思ったことはない。
デザインや柄使いが、一部の特別コレクションを除いて、野暮ったく繊細さに欠けていて、とても着る気にはなれなかった。そういう購買者の不満をユニクロはよく認識していたわけだ。
そういった弱点や客の不満を克服するために、これまでも、外部の一流デザイナーの卓越した力を吸収してきたからこそ、ここまで人々に愛されるブランドになった、ということが良く理解できるインタビューで読み応えがあった。
ところで、ワタシも一番気になっていたワンピースを3型試着してみた。プリントラップワンピース、バルーンスリーブワンピース、シフォンプリーツワンピースである。
シフォンプリーツワンピース。
ポリエステル100%の透け感のある柔らかな素材、同色のインナースリップ付き。ウエストが紐で調節できるようになっていて、左右から引っ張るとジャストサイズのウエストにもできる。
試着したレモンイエローの色味は非日常性を感じさせ夢がある。ただ、紐で左右から引っ張れば引っ張るほど、生地が下へ下へ引っ張られるような感じがした。
たぶんウエストマークせず、ストンとそのまま着たほうが良いけど、上半身のボリューム感がわたしには物足りない。胸の薄いワタシが着るとちょっとバランスが悪い。
プリントラップワンピースとバルーンスリーブワンピースも、欲しい、と思えるほどではなかったが、これからが楽しみな「UNIQLO : C 」なのだ。