ドラマ「何曜日に生まれたの?」最終回10月8日が終わって、3週間たった。野島伸司脚本の、元引きこもりの27歳女子を主人公にした物語だ。
毎回、予想を裏切る展開にワクワクした。
物語は、主人公の黒目すい(飯豊まりえ)が、かつてマネージャーをしてた高校時代のサッカーチームとの再会を軸に、話が展開していく。
売れっ子ラノベ作家公文竜炎(溝端淳平)と漫画家であるすいの父親(陣内孝則)がタッグを組み、
実の娘であるすいの実生活をネタに、現在進行形で取材しながら、漫画の連載をするという設定だ。
社会を俯瞰する視点と仕事第一の事務的な態度、常に周囲と一歩ひいたところに自分を置くラノベ作家クモンリュウエンも、
実はトラウマを抱え何かから逃げていることが、次第に明らかになる。
若い世代ならではの不完全さと瑞々しさの表現と時代の描き方がとても成熟している。こういうのって、現在60代の野島伸司だからこそ書けるんじゃないか、世代間を俯瞰できる年代ならでは脚本だ、魅了された。
全9話を見終わり、2回目を見はじめた。
すると、黒目すいの履いているバレエシューズが、重要なキーアイテムになっていることに気が付いた。
まずは、はじまりとエンディングのテーマ曲「Bus Stop - The Hollies」がバックに流れるイメージ映像。
YouTube Bus Stop - The Hollies(日本語歌詞付き)
真っ青なワンピースを着た飯豊まりえが、どしゃぶりのなか、バス停留所に向かって素足にシルバーのバレエシューズを履いて駆け抜ける。
バス停のベンチに脚を伸ばして横座り、うつ伏す、びしょぶれの顔、素足とバレエシューズにカメラがフォーカス...........ぴったりの形容詞がみつからない。
ドラマは、引きこもり=コモリビトの飯豊まりえが、最初の頃は、スエットにTシャツの家着、ひさしぶりのご近所以外の外出で、ストライプのTシャツとパンツ、
と徐々に世間に出る過程で、服装が変化していく様子が面白い。1回見ただけでは、そういう細かいところまでは気が回らない。でも2度目を見ることで気がついた。
主にすいの服装は、
①よそゆき着、ワンピース、
②よそゆき着、フリルなどデザイン性のあるブラウス+布帛のパンツ、
③普段の外出着、テーパードやワイド系、ジャストウエストやローウエストなど、毎回違うデザインのパンツ+フレンチスリーブのブラウス、カットソー、セーター、
と大きく分けて3タイプある。
わたしが一番好きなのは③の普段着の外出スタイル、ワイドパンツやテーパードパンツにフレンチスリーブのブラウスを着て、足元はごく普通のブラックのバレエシューズだ。
ペタンコのバレエシューズと、ワイド、テーパードのパンツの丈や布の分量感、そのあやういバランスにノックアウトされた。
スニーカーだともっとなんというか、モッサリとしてしまう。
今風にいうとこれがすいのユニフォームなのだ。
ドラマ第8回、焼肉屋に初めてひとりで入る黒目スイはイメージとは対照的に、あっけらかんとごはんと肉を口に運ぶ。
食べながら足先が床に対してほぼ垂直になっている、足指の先だけが床についているから、バレエシューズが半分脱ぎかけている、
スイは、ブツブツ独り言を言いながら、直前にあった出来事が原因で痛めたくるぶしをさする、と、次の瞬間、ドラマは、思わぬ方向に舵を切っていく.......。
それまでも、カメラはときどき、飯豊まりえのバレエシューズの足先を意図的なのかどうかわからないけれど、フォーカスしていた。
ガーリーとバレエシューズは相性が良い。わたしは60代だけど、バレエシューズが猛烈に履きたくなった。ガーリーとバレエシューズ、初老とバレエシューズ、案外イケるかも
60代は次第にオンナが抜けていく時期でもあり、70代、80代ともなると、個人差が大きいけれど性別が曖昧な感じになる、
その老年期ならではの、エロが薄まっている精神とカラダに、ガーリーなバレエシューズは、案外イケるんじゃないか、
シワシワ首に、ジャラジャラアクセサリーがハマるのと同じ構図だ。
ネット検索すると、飯豊まりえは、モデルでもある。雑誌「MORE」のサイトに、バレエシューズを履いたコーディネートがいくつも見つかる。
集英社MORE飯豊まりえがリアルに欲しいお買い物リスト! 『レペット』のフラットシューズはベーシックなパンツと
MORE 飯豊まりえのデニムルールとは?「どこかに上品さは必ず入れる」
強い主張のない容姿が、同じく主張のないコンサバなパンツスタイルにバレエシューズがぴたりハマる、いいなぁ。
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参考:【野島伸司参戦!】8月6日スタート「何曜日に生まれたの」制作発表会見